現在位置:首页 > 三国志の真実

司馬昭はなぜ高貴郷公事件で部下に裏切られたのか?

「数百人の使用人・下僕を率いて騒ぎながら出陣した」——これの戦闘力がどれほどのものか、読めば誰もが首を傾げるだろう。しかも事前に王沈・王業が密告し、司馬昭側には十分な対応時間があったはず。にもかかわらず、賈充が登場するまで、誰一人として現場に駆けつけた者がいなかったのだ。司馬昭の実弟・屯騎校尉・司馬伷が率いる部隊は、東止車門で曹髦と遭遇した。

龍の歩み龍の歩み

『漢晋春秋』(『三国志』裴松之注引)にはこうある:

「帝(曹髦)自率僮僕数百人鼓譟而出。」

『漢晋春秋』

「数百人の使用人・下僕を率いて騒ぎながら出陣した」——これの戦闘力がどれほどのものか、読めば誰もが首を傾げるだろう。しかも事前に王沈・王業が密告し、司馬昭側には十分な対応時間があったはず。にもかかわらず、賈充が登場するまで、誰一人として現場に駆けつけた者がいなかったのだ。

司馬昭の実弟・屯騎校尉・司馬伷が率いる部隊は、東止車門で曹髦と遭遇した。しかし曹髦側が一喝しただけで、司馬伷軍は戦わずして四散奔走。『資治通鑑』巻七十七にも:

「伷兵皆散走」

『資治通鑑』

と記されている。文字通り「全軍逃走」である。

もう一人の実弟・司馬幹も兵を率いて曹髦を阻止しようとしたが、大将軍掾・満長武と孫佑に閶闔門で止められた。その理由がまた滑稽だ:

「閶闔門は近いが、まだ誰もここを通っておらず、他門へ回るべきだ」

——つまり「誰もまだ行ってないから、あなたが最初に行くのは危険ですよ」という“忠告”。そして司馬幹はそれを真に受けて東掖門へ迂回した。信じられるか?緊急事態に、司馬昭の腹心たる幕僚と実の弟が、「危ないから他人に任せて自分は逃げよう」 という発想しか出てこないのだ。

さらに参軍・王羨が現場へ向かう途中、満長武に阻まれて到着できなかった。王羨は逆上して満長武を告発。すると満長武の動機が怪しくなる。司馬幹を止めたのは「上司の親戚に媚びるため」ならまだしも、王羨を止めた理由は一体何なのか? 「お前、もしかして曹髦と内通してるんじゃねえの?」と疑われても仕方あるまい。

事件後、司馬昭は裁判を命じ、曹魏開国功臣・満寵の孫である満長武を拷問の末に処刑。父・満偉も庶人に落とされた。孫佑に至っては一族皆殺しの処分を下そうとしたが、荀勗の諫言で庶人処分に留まった(『晋書・賈充伝』)。もし司馬幹が実弟でなければ、彼も一族ごと処刑されていた可能性すらある。

兵力・準備ともに圧倒的優位な司馬昭陣営が、こんな“珍妙な部下たち”のせいで、皇帝・曹髦に本陣目前まで迫られるという前代未聞の危機に陥ったのだ。

賈充がようやく曹髦と対峙した際も、その部下たちは逃げ腰だった。そこで賈充が叫んだ言葉——

「公(司馬昭)畜養汝輩、正為今日耳!」

『漢晋春秋』

「主君がお前たちを養ってきたのは、まさに今日のためだ!」

——この一言で、成済が飛び出て曹髦を刺し殺した。

この瞬間、司馬昭は完全に呆然自失だったろう。賈充も多少の覚悟はあっただろうが、本来ならもっと穏便な解決策があったはずだ。兵力差を考えれば、武装解除・拘束は難しくなかった。しかし現実は——

  • 責任を押し付け合う者
  • 戦わず逃げる者
  • 中立を装う者
  • 皇帝を斬って出世を狙う無節操な者

全員が私利私欲に走り、司馬昭を火あぶりにすることなど何とも思っていなかった。忠誠心も能力もない連中の中で、唯一頼りになったのは賈充だけだった

そして司馬昭がこの“クソみたいな状況”に頭を抱えている最中に、叔父・司馬孚と重臣・陳泰が曹髦の遺体の前で号泣し始めた。陳泰に至っては「ただちに賈充を処刑せよ」と要求。これは助けではなく、忠臣の看板を奪いに来たのだ

以前、曹芳を廃位した際、陳泰の名は勅令の筆頭にあった『三国志・魏書・三少帝紀』)。また姜維に隴西を蹂躙された際は、司馬昭が責任を被って陳泰をかばった。それなのに今さら「忠義」を演じて「賈充を斬れ」と?
——お前ら全員が賈充みたいに忠実だったら、俺がこんな目に遭うわけないだろうが!

おそらくこの時、司馬昭はようやく悟ったのだろう——
「表面上は利害一致で共にいる連中は、内心では俺が潰れてくれることを願い、曹髦の即位を待ち構えている」

だから賈充を処罰するどころか、賞を与えずにはいられなかったはずだ。実際、曹髦の後始末を済ませ、曹奐を即位させた後、司馬昭は即座に賈充を亭侯から郷侯へ昇格、食邑千二百戸を加増、城外諸軍を統轄させ、散騎常侍の位を加えた『晋書・賈充伝』)。この破格の待遇は、「高貴郷公事件における功績」への明白な報酬である。

総括:司馬昭政権は“利益共同体”にすぎず、組織力も忠誠心も欠如していた。

この一件で明らかになったのは——

  • 危機対応能力ゼロ
  • 組織的連携皆無
  • 上司への忠誠心など幻想

もし司馬昭がここで「自分は関係ない」と部下を切り捨て、“橋を渡ってから梯子を外す” ような真似をしていたら——
二度と誰も彼のために命を懸けて戦う者などいなかっただろう


トップに戻る